生きているから
日の短さや夕焼けの美しさ、朝夕の冷え込みや街路樹の色づきに秋を感じる季節になりました。
皆様、お元気ですか。
書くべきか黙っていようかと長い間悩んだのですが、お会いすれば直ぐにバレてしまうし既にお気づきの方もいらっしゃると思うので、皆様に知っておいて頂こうとやっぱり書くことにしました。
自分の身体がどこか変だと感じながら、それが確信に変わったのは2年半ほど前のことです。和食のお店に行った時、激しい動悸と共に指が震え始め私は目の前のお箸を持つ事が出来ませんでした。日に日に震えは全身に広がり、動悸に合わせて息をして話すため声まで震えるようになりました。
慌てて検査をした結果、私の病気はストレスによる本態性振戦というものだとわかりました。本態性振戦って?
ネットで調べて、私は初めてこの病気で苦しんでいる方の多さを知り驚きました。
先生は、「辛い事をご家族に話せたら良いけど出来ないのかな?1つひとつ問題がクリア出来ると良いね。それまでは薬で抑えよう。この薬で良くなった患者さんもうちにはいるからね。常習性はないし、接客前にお酒を少し飲んでおくのも良いよ、リラックス出来るからね。ただ人によってはボンヤリしたり眠くなる人がいるから飲む時間だけは気をつける様に。」と。
最近何度も転ぶのはお薬のせいだったのかもしれません、という事にしておきます。笑
私の1番のストレスは終わりの見えないコロナとお店の未来です。報道の通り、コロナ禍で世の中は大きく変わりました。やっと念願の営業再開だというのに街は静まり返り、何をどうすれば良いのか考える余裕もなく耐えるだけの数か月が過ぎた頃、施設から母が原因不明の骨折で緊急搬送との連絡が入りました。留めはマスターから検診で異常が見つかり手術する事になったと聞かされた事。電話でその報告を受けたその瞬間に、私の心がパンッと大きな音を立てて砕け散りました。ストレス3本立てです。
先日、マスターが無事に手術を終えて復帰してくれました。気のせいかマスターは入院前よりよくお喋りし、よく笑うようになりました。
ストレスをやっと1つ、クリアしました。
まだ症状は目に見えて改善されていませんが、ピークは脱したと良いように勝手に思い込む事にして、お薬をあてに開店直後からちびちびお酒を飲み、いつも真っ赤な顔で水割りを作っています。ピーク時はサービス精神も意欲も無くし見られる事が苦痛で俯いてばかり、誰か助けてと叫びたい思いでした。今でも時々アイスがどこかに飛んでいきますが、私は平然とお客様の前に座っています。震えていたって歌も唄うしお話もします。私が生を感じるのはここにしかないからです。隠れていたくありません。
最近は完治しなければドリフターズのもしもシリーズで志村けんさんが小料理屋のお婆さんになってたでしょ?宙吊りになって奥から飛んで来て長さんにお酌するコントがあったじゃない。あれしかないかもねと娘と話して笑えるようにもなりました。
私にストレスが降りかかるのは、生きているからです。
マスターがまだ痛い患部を押さえながら大笑いしています。時間を見つけては娘が大真面目な顔でYouTubeの編集をしてくれています。私には震えてるの?と心配そうに聞いて下さるお客様がいます。気づいても黙っていて下さる方もいます。
私は幸せ者です。本当にほんとうに幸せ者です。だから私を大切に思って下さる方々に感謝して、負けずに何とか頑張って頑張って必ず・・・
それでもダメなら一升瓶抱えて宙吊りでお酌します。
マスターが。笑
面白いと思うわ、その時は是非見にいらして下さいね。。