10月 2019

また台風が各地に大きな災害をもたらして去って行きました。福島には夏休みにお邪魔しました。千葉は週末ドライブに度々行く私には身近な場所、とても残念で心が痛いです。雨はもう懲りました。皆様、お元気でしょうか。

12月に銀座のトリルは開店10周年を迎えます。そこで少しだけ店内のインテリアを変えてみました。オープン前、私の頭の中にはこんな雰囲気のお店をしたいという理想がありました。でも賃貸物件には厳しい制約があり、資金にも限度がありました。大きな傘の下で胡座をかいていた雇われママの私が、たった1人で漕ぎ出した泥船です、例え資金に余裕があったとしても投入する度胸など当時の私にはありませんでした。あっという間に私の理想は、あっさり跡形もなく消えました。

あの時から・・・もう9年です。

先日、私は1人で開店前のソファに座り、黙って店内を見渡していました。そしてある事に気づきました。トリルはまるで私の自宅と姉妹のよう。

ふと昔、夜の銀座に勤め始めた頃のことを思い出しました。初めて勤めたお店にあるものは全てが高価で、新人の私はお客様がグラスを持つ度に冷や冷やしていました。そんな私を知ってか知らずか、ある年配のお客様がこっそり仰いました。「 こういうお店はね、ママの自宅に招かれているような雰囲気じゃなきゃいけないんだよ。ママのカラーと一致しないとだめなんだ。ここのママは相当高級なのかな?それとも高級好きなのかな。」

私にはその言葉の意味が全く理解できませんでした。今でもよくわかりません。こういうお店の意味もママのカラーの意味も、高級も高級好きも。物は物でしかないから。ただ私は私の好きな物しか置かないから、それが好きだと言って下さる方が沢山いると嬉しいな。「 家に帰ってきたみたいだ。」とか、「 ここは なんか落ち着くね。」とか、「 ここで飲んでると眠くなるよ。」とか言って下さると嬉しい。同じ場所で同じ時間を一緒に過ごせる事が嬉しい、ただそれだけ。

よく9年もやってきたものです。

皆様、いつもいつもありがとうございます。

もっと頑張ります。皆様の応援を支えに、マスターと娘の力を借りて。

台風19号は余りにも鋭い爪痕を残していきました。被害に遭われた方々のご苦労を思うと心が沈みます。追い討ちをかけるように今週末は雨、どうかこれ以上被害が出ませんようにと願っています。

実はそんな中、私達母娘は長野県に2泊の予定で遊びに来ていました。初日は安曇野、2日目は斑尾泊の予定でした。19号は土曜に関東上陸との前情報を信じ、「 早朝に都内を抜けて信州に逃げちゃえば大丈夫。」なんて言って、バルコニーのテーブルも椅子もロープで固定して準備万端で。地下のトリルの事ばかり心配していた私でした。到着時、安曇野は小雨でした。それがまさか数時間後に千曲川があんな事になるなんて・・・。

安曇野アートミュージアムで1つひとつの作品を楽しみ、りんごのソフトクリームを食べて、ティールームガルニに移動。ママとのお喋りと美味しいランチ。雨が激しくなってきたので早目にホテルにチェックインして、ゆっくりお湯に浸かり寛いでいました。都内はどうなったかと気になってテレビをつけ、それからはずっとずっと災害情報に釘付け。雨の中を鳴り続けるサイレンと防災無線は異様でした。

翌朝、斑尾のホテルから停電によるキャンセルの連絡が入り、随分迷って急遽八ヶ岳に宿を取りました。調べたところ道はどこもかしこも通行止で、慌てて帰宅は止めようと。ホテルを後にして見る景色は前日とは全く違うものでした。これは私のせいではないけれど申し訳ない、そんな気持ちになりました。

八ヶ岳も早々に退散。富士市まで下り東名で倍以上の時間を掛けて帰宅しました。自宅のバルコニーに出たら、小さな枯葉が1枚ひらり・・・

いつ誰がどんな被害に遭うかなんて、誰にもわからない。今回は私じゃなかった、それだけ。人の気持ちがわかる人間でいたい、わかりたいと思える人でいたい、思うだけでも。