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足りない訳

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足りない訳

私・娘・店内にて

今年も残り僅かになりました。毎年この季節は必ず来るのに、何年繰り返しても慣れることはなくせかせかと慌てている私がいます。皆様はいかがお過ごしでしょうか。私のような余裕のない人間が増える時期です、どうぞお気をつけてお過ごし下さいませ。

金曜日の夕方、お客様にお渡しするお年始のお菓子が足りなくなった為、三越に立ち寄りました。あんなに何度も数えて間違いなく買ったはずなのに足りないって、一体これはどうした事でしょう。笑

食料品売り場は真っ直ぐ歩けないほど混雑していました。私はお目当ての売り場に行き不足分をさっと注文、年配の店員さんもささっと包装。流石ベテランさんは手際が違うとさささっと売り場を後にしました。

いつもは年末ギリギリに買うお正月の母の生菓子も今年はついでに買ってきました。店員さんが、「お荷物1つにおまとめ致しましょうか?」「ありがとうございます。でも大丈夫です。どれがどれかわからなくなりそうだし。」「そうですか。生菓子が日持ちすれば良いのですけど。」「 そうですよね。いつもは30日とかに来るのだけど、でも今年はこれでもう来なくて済むわ。良かった。」

その後、クリスマスプレゼントを買う為、自分のバックとお菓子の紙袋を6つ下げて紳士服売り場に移動。売り場はガラ〜ンとしていて、「流石にクリスマス直前になってプレゼント選びもないかぁ。」って呟きながらショップの外から品物をチラ見。

2周歩きあるショップで足を止めたら、奥でクルクル周る私をジィーっと見ていた白髪のおじさんが嬉しそうに寄ってきた。

「どういった物をお探しですか?良かったらお荷物をこちらにどうぞ。」

おじさんもベテランみたい。

商品にとても詳しくハキハキしていて、付けてる香水も私好みの渋い香り。

大変よろしい。笑

時間をかけてやっと決まると、「お箱に入れてラッピングになりますが、包装紙とリボンは何色になさいますか?」「どちらもブルーでお願いします。」「ではそのように致しますね。少しお包みにお時間を頂戴致しますので、こちらにお掛けになってお待ち下さいませ。」

とっても良く出来ました。

暫くしておじさんはラッピングした物とショップバッグを多めに持って戻って来て、「お待たせ致しました。お客様、小さなお荷物だけでも1つにおまとめ致しましょうか?」「あ、そうね。じゃ、これとこれはこっちに入れて頂いて。これとこれと、これとこれはこっちに。これとこれはこっちにまとめてもらって。これとこれとこれはこっちでお願いします。」「わかりました。」

売り場には色んな店員さんがいて中には要領悪くてイラッとする人もいるのに、今日はなんて良い日かしらと上機嫌で三越を出た。

重くて何度も持ち直しながらもう直ぐお店って所まで歩いてきたら、時々お客様とお食事に行くお店の店長が手持ちの看板持って暗い顔して立ってた。

店長は私に気づくと、「もあさぁ〜ん。どうしたんですか、凄い荷物ですね。」と声を掛けてきた。重くて早くお店に行きたいけれど話しかけられたら仕方ない。「そうなのよ〜、色々ね。だけどどうしたの?店長自ら外に立つなんて立派だわぁ。」

店長は今夜ご予約の団体様が急にキャンセルになってしまったこと、仕入れたお刺身が台無しになってしまうこと、だからこうやって看板持って声を掛けてくれる人を待っていることを説明した。

いつも明るい店長がうちのマスターより暗かった。

私は気の毒になって、今買ってきたばかりのお客様に差し上げる予定の菓子箱を紙袋から1つ取り出して・・・

足りなくなった。笑