銀座のトリル 03-3572-8228

10月 2019

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また台風が各地に大きな災害をもたらして去って行きました。福島には夏休みにお邪魔しました。千葉は週末ドライブに度々行く私にとって身近な場所、とても残念で心が痛いです。雨はもう懲りました。皆様、お元気でしょうか。

12月に銀座のトリルは開店10周年を迎えます。そこで少し店内のインテリアを変えてみました。オープン前、私の頭の中にはこんな雰囲気のお店にしたいという理想がありました。でも賃貸物件には厳しい制約があり、資金にも限度がありました。銀座のトリルは大きな傘の下で胡座をかいていた雇われママの私がたった1人で漕ぎ出した泥船で、例え資金に余裕があったとしても投入する度胸など当時の私にはありませんでした。私の理想はあっさり跡形もなく消え去りました。

あの時から・・・もう9年です。

先日、私は1人で開店前のソファに座り、黙って店内を見渡していました。そしてある事に気づきました。トリルはまるで私の自宅と姉妹のようだと。

そう思ったらふと、夜の銀座に勤め始めた頃のことを思い出しました。お店にあるものは全て高価な品物で、新人の私はお客様がグラスを持つ度に落とさないかと冷や冷やしていました。そんな私の様子を見ていたある年配のお客様が私にこっそり、「こういうお店はね、高級じゃないとダメなんだよ。銀座は高級、ここのママも高級だから。」

当時の私にはその言葉の意味が全く理解できませんでした。こういうお店という意味も高級の意味も。銀座が長くなればなるほど益々わからなくなりました。高級って何ですか?ただ私は値段じゃなく私の好きな物を、沢山の方に私もそれが好きだと言ってほしい。「 家に帰ってきたみたいだ。」とか、「ここは 落ち着くね。」とか、「 ここで飲んでると眠くなるよ。」とか言って下さるととっても嬉しい。同じ場所で同じ時間を一緒に過ごせる事が嬉しい、ただそれだけ。

皆様の応援を支えに今後も地道に頑張ります。マスターと娘の力を借りながら。

いつかこんな私にもこれが高級って事なんだと、わかる日が来るかもしれない。

台風19号は信州に余りにも鋭い爪痕を残して去っていきました。被害に遭われた方々のご苦労を思うと心が痛みます。追い討ちをかけるように今週末も大雨の予報、どうかこれ以上被害がありませんようにと心から願っています。

実はそんな中、私達母娘は長野県に2泊の予定で遊びに来ていました。初日は安曇野、2日目は斑尾泊の予定でした。19号は土曜に関東上陸との前情報を信じ、「 早朝に都内を抜けて信州に逃げちゃえば大丈夫。」なんて言って、バルコニーのテーブルや椅子を飛ばされない様にロープで固定して出発。

到着時、安曇野は傘も必要ないくらいの小雨でした。それがまさか数時間後に千曲川があんな事になるなんて・・・

安曇野アートミュージアムで作品を鑑賞し、りんごのソフトクリームを食べてティールーム『ガルニ』に移動。ママとのお喋りと美味しいランチを楽しんでいたところ段々雨が激しくなってきたので、早目にホテルにチェックインしました。それから都内はどうなったかと気になってテレビをつけてから・・・ずっとずっと災害情報に釘付けでした。土砂降りの雨の中を鳴り続けるサイレンと繰り返される防災無線の声は経験したことのない異様さで、ホテルは山の斜面に建っていて直ぐ逃げ出せる様にと娘とピタッとくっついて眠れない不安な一夜を過ごしました。

早朝に斑尾のホテルから停電で営業できない為キャンセルして欲しいとの連絡が入りました。そんな事も初めてでした。調べたところ道はどこもかしこも通行止で慌てて帰宅は止めようと判断、急遽八ヶ岳に宿を取りました。安曇野のホテルを出て車内から見る景色は前日の美しさと一変していて、自然災害の恐ろしさを目の当たりにして愕然としました。

八ヶ岳に19号の被害はなく嘘みたいに平和で、逃げて来た私達を安心させてくれました。その夜のよく眠れたこと。。。爆睡!

普段の倍以上の時間を掛けて帰宅し自宅のバルコニーに出てみたら、小さな枯葉が1枚ひらり。

見事に台風の目に向かって行ったって事ですね。笑

これからは予報は予報ですからとか、自信ないけど今回はこうなんじゃないかなぁ〜って前置きしたらどうかな?気象庁。