16
3月
今朝お店を閉めてタクシーが自宅前に着き、車を降りた私の頬に温かい風が当たりました。その瞬間に、「あ〜、春なんだなぁ。」と・・・。
私はやっと真っ暗な細くて長いトンネルを抜けた様な気持ちになれてホッとして、何年か振りに1度も起きる事なくお昼まで熟睡出来ました。
姉が亡くなる少し前の事です。ベッドの淵に腰掛けて姉の痩せ細った脚のマッサージをしていたら、「辛いことが起きるともうこれ以上苦しい事はないだろうと思って生きてきたけど、まだあったわ。」と辛そうに呟きました。
私は撫でる手を止めて。
それなのに返す言葉が何も見つからず黙ってしまいました。母親似の姉は決断力に優れ、いつも前向きで強い人でした。優柔不断でだらだら過ごす私にとって、姉は羨ましい存在でした。そんな姉の弱った言葉に何をどう言えば良かったのかと今でも時々考えてしまいます。
最近少し早目に出勤して、もう何百回、もしかしたら何千回、通い続けた街を歩いています。職種は違うけれどそこで一生懸命に働く人達を眺めています。
頭から肩に、肩から腰に、腰から足の指先にまで思い切り力を入れていたのかな。
目に入る風景や忘れて良い事まで、全部覚えておこうとしていたのかな。
もうそろそろ自分を解放してあげないと。
だらだらで良いよね。
また苦しい次があるなら。
私は私で良いよね。
これからも生きていかなきゃいけない。