銀座のトリル 03-3572-8228

9月 2023

化学療法室にて

連日の暑さに嫌気がさしていた毎日にやっと終わりが見えてきました。昨日や去年と比べて今日の温度はどうか、そんな事ばかり言っていた様な気がします。時々、四季の順番が変わったらどうなるのかな?春秋夏冬だとしたら目に映るもの全てが変わるんだろうかと思う事があります。今だになぜなに学習図鑑の私です。

皆様、お元気でしょうか。

癌と告知をされて5か月ほど経ちました。

日本の四季が変わらなくても、人は自分の置かれた状態で見るもの全てが変わります。よくどうして自分が!と癌と告知されてショックだったという記事を目にしますが、私はそれは思いませんでした。がたいの良さの割に私は幼い頃からちょこちょこ小さな病気をする子供でしたし、大人になっても胃が痛いとか頭が痛いとか、いつもバッグの中には数種類のお薬を入れ持ち歩いていました。絵にも描けない不規則、不健康な生活を長年続けてきました。

2人に1人は癌に罹患する時代です。私は癌に近い場所にいる自覚があり、ショックではありましたが妙に冷静に納得して告知を受けた記憶があります。その後の外科的処置と化学療法、簡単に言えばそれに費やした5か月間でした。そのたった5か月間の経験がそれまで見ていた風景を一変させ、私だけの新しい思いや考え方を作っていきました。

昨日は予定より2週間遅れの抗がん剤治療日で、化学療法室という場所で投与してもらいました。待っている間に見取り図を見ていたらナースステーションの周りに治療室が30室あり、担当の看護師さんによると混んでいる日は3交代するのだそうです。約100名近く癌患者ウジョウジョです。カーテンで仕切られていて大部屋の狭い感じがずらずら〜とというイメージです。看護師さんも沢山いて15分間隔で見に来てくれてとても安心でした。今まで何かの度に個室だったのでこの大部屋的感覚は新鮮で、備え付けのテレビもありましたがスマホを何度か見た以外は6時間滞在の殆どを人間観察をして楽しく過ごしました。笑

癌になりたくはなかったけれど、どうせなるなら今で良かったと思います。まだボケていないうちにね、今はまだ明るい未来は見えなくても小さな変化を敏感に見つけて楽しむ事が出来ます。目を覚ましておはようと言える事、支えてくれる皆んなに感謝を言葉にして伝える事が出来る事。ビックリするくらい弱くなったり、人類史上最強になったりを繰り返し乍ら踠き乍ら、諦めて受け入れて私は少しずつ強くなっていく。どうしてあんなに強がっていたのか、見栄を張っていたのか、間違っていた事と間違っていなかったと思える事、出来たこと出来なかったこと、客観的に過去の自分と向き合いながら情けない自分を許し程々に折り合いをつけ、剥き出しになった自分を笑う事ができる。作り物だと思っていた自分も嘘ではなくそれも私の一部で、私は私以外にはなれないんだと知った。そしてこれからの私は?

癌が教えてくれた、これからも

辛抱強く私は自分を生きていく。

天空へ続く道

シーツや肌掛けを洗ってバルコニーに出たら先週までの風と違う風が私を横切って、夏が行こうとしている事に気づきました。これからの季節は日に日に一雨毎に過ごし易くなりますが、それが少し寂しいと思うのは私だけでしょうか。皆様、お変わりございませんか。

先週の金曜日に抗がん剤治療が開始されました。初期だからと思っていたステージが上がってしまい、一時はショックでガックリガクンと落ち込んでしまった私でした。頑張れと何度自分に言い聞かせても効き目はなく、深みにはまって必死にもがく自分に打つ手なしでした。こんな事になるとは思いもよらず5月の道央、道南旅行の終わりに予約した8月の道東旅行も、家族に迷惑をかけるのでは?とギリギリまで悩みました。でもだからこそ全く違う環境に身を置いて自分と向き合わない時間を過ごすべきと判断し決行しました。開腹手術1ヶ月後の早朝のことです。

釧路に降り立ってから私は少しオーバーなくらい意識的に大自然や新鮮な食材に歓声を上げ、美味しい空気を胸いっぱい吸い込み、眠る前には必ず、「私は幸せだわ。」と声に出して言い続けました。不思議な事にあんなに辛かった毎日が嘘みたいに消えて、旅の途中から、『なってしまったものはもうどうしようもない。今こんなに幸せなんだからそれで良い。』そう思える様になりました。抗がん剤治療が始まるまでに身体に良い物を沢山摂り入れて、自分に出来る事をして来るものに備えるんだと・・・

第1回目の抗がん剤治療の前日に娘が1人で何軒もの専門店に足を運び直接被ってみて予約してくれていた医療用ウィッグの専門店に行き、髪を3部刈りにしてもらいオーダーしていたウィッグを被って帰宅しました。翌日から2泊3日の入院をして治療開始、アレルギーやショック症状もなく次回からは通院での治療が決まりました。自宅では毎日家族に丸坊主をクリクリ撫でてもらい、そして今日、治療から10日が経ちました。さすが抗がん剤です、身体中をぐるっと周って手当たり次第に痛めつけているのがわかりました。副作用はありましたがどの症状も予想の範囲内で重くなく、1度も寝込む事なく1週間で楽になりました。治療の回数が増える毎に副作用が強くなるそうですが、初回としては上出来ではないかと思います。

2回目以降もこの程度なら良いのにと期待してしまう私。どうなるか全くわからない事をアレコレ考えてしまう私。頑張れば何とかなると信じている私。遠い先を見据えて逆算しながら生きてきた私。それが正しいと思ってた。でも癌になってNO!を顔面に突きつけられてコテンパンになって。そして初めて知った事、それは

今を生きるということ。

出来れば楽しんで。

⭐︎銀座のトリルは通常通り営業しています。

⭐︎マスターのみ、マスターとキャストのみ、マスターとキャストと私がいる日があります。

⭐︎私は治療後1週間はお休みさせて頂き、次回の治療までの2週間は体調を見ながらの出勤になります。

⭐︎次回の治療は9月15日です。