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10月 2023

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箱根にて

街路樹の葉の彩りや日の短さに秋の深まりを感じる季節になりました。

今夜お天気なら北東の空にアンドロメダ流星群が見られるそうです。北東がどっちなのか早く調べておかないと。。

皆様、お元気ですか。

昨日、無事に3回目の化学療法を終える事が出来ました。

私が罹患して初めて知ったのは、癌は癌でも色んな癌があるという事です。私が無知なだけで以前からあるみたいですがコロナ禍で研究が進み更に細分化されたそうで、ずっと癌の種類は1つだと思っていた私はビックリしました。そんな数ある癌の中から私の症状に合う、今ある医療の中で最善のものを主治医は最初に提案されたと思います。化学治療を受ける前に血液検査をして、先生の判断で当日の投与の有無が決まります。今回の様に先生からスムーズにOKを頂き何の問題もなく5時間程の治療を終えると、最善コースをまた一歩進めたとホッとすると言うわけなのです。

そんな化学療法も半分が終わりました。

信じるものは救われる事もあり、病は気からは本当です。血液検査の数値が感動的に良くなってきました。この調子で残り3回がとんとんとんとスムーズに進む様に、今日からまた明るく過ごしていこうと気持ちを新たにしています。

ところで皆さんはとなりのトトロをご覧になった事がありますか。私は娘が幼い頃に何十回も観ました。もしかしたらもっとかもしれません。トトロの中にさつきちゃんとメイちゃんという姉妹が登場するのですが、小さい頃の娘はとても妹のメイちゃんに似ていました。そのせいもあって何度も何度も繰り返し観たのだと思います。作中で病名には触れていませんが、さつきちゃんとメイちゃんのお母さんは結核で長期療養中です。昔は結核は不治の病で沢山の方が亡くなったという先入観があり、私はずっとお母さんは病院で亡くなったのだと思っていました。

ある方がお見舞いにトトロのぬいぐるみを持ってきて下さるまでは。

亡くなったと思い込んでいた私は内心、え?!と驚いて、「どうしてトトロなの?」

するとその方が、「お母さんは元気になって長い闘病生活を終えて退院して、さつきとメイの所に帰るから。」と教えてくれました。

「え?そなの?死なないの?」

その夜から私の枕元にはトトロがいます。

辛い時も不安な時も嬉しい夜もトトロが私を見ています。初めての2泊3日の入院での化学療法の時は、準備した荷物の1番上に娘がトトロを入れました。「え?これ病院にも持ってく?」すると娘が、「守ってくれるよ。」と一言。

たちまちトトロは若い看護師さん達の人気者になりました。そして今も私をじっと見てくれています。

私が癌を公表してから、効くと言われるところに出かけては癌封じの御守りを送り続けて下さる方がいます。沢山の方からお店にお花が届きました。本を送って下さった方や温かいメッセージを下さる方。不在と知りつつお店に通って下さる方。毎回ブログを読んで感想や励ましのメールを下さる方。

・・・黙って回復を待って下さっている方。いつも皆さんが側にいて下さっていると感じます。

一緒に頑張ろうと言ってくれる主治医のゆうな先生と大斗先生や医療チームの皆さん。

優しい親族とスタッフ達。

私を支えて下さる皆様に心から、

ありがとう。

必ず元気になります。

⚠️恩返ししますとか良い人間になるとは言ってません。😂

熱海にて

秋も深まり夜寒を覚える季節になりました。5月に登ったまだ積雪の旭岳が紅葉狩りで賑わっている様子をニュースが伝えていて、日本らしい美しい景色と懐かしさに思わず見入ってしまいました。皆様いかがお過ごしですか。

今週の金曜日は3回目の化学療法です。2回目が終わりホッとしたのも束の間で、3週間はあっという間に過ぎていきます。聞くところによると副作用は人それぞれで、重くて寝込んでしまう人や殆ど症状が出ない人もいるようです。私は辛い時期もこれ位なら軽い方だと思い込んで過ごす事にしていて、単細胞にはこの勝手な思い込みがとても効果的だと感じています。癌に罹患してから私はネット上の癌関連を一切シャットアウト、どうしても知りたい情報だけ、主治医と身内のネットのプロを頼ることにしています。人は人、私は私。

知らぬが仏です。😽

昨夜、マスターが自宅まで来てくれました。書類を持って何度も来てくれているのに都合が合わず家族任せで、私がマスターに会うのは開腹手術以来3か月ぶりでした。マスターから店舗に関する報告を一通り受けた後、話題は私の病状へと移りました。マスターは癌は、というか抗がん剤治療は昔テレビドラマで見た様な洗面器を抱えて嘔吐したり、鏡の前で髪に触るとバサっと脱けたり、痩せ細って青白い顔といったイメージをしていたのだそうです。私も抗がん剤って皆んなそうなるんだと思っていました。ところが目の前の私はスタスタ歩きケラケラ笑い、「優秀なのよ、最近の吐き気止めって。全然吐き気しないの。それどころか浮腫もあるし、何とかって点滴の成分で食欲が半端なくて太ったわ。今のところ、眉毛もまつ毛も抜けていないしね。」なんて言う。癌患者らしくない癌患者で拍子抜けしたのか、それとも心配を掛けまいと頑張っている風に思ったのか、何故かマスターは私が何か喋る度に段々深く俯向き目を合わせなくなりました。

「あのね、癌になってから1度だけ落ち込んだんだけどね。あれ以来は1度も落ち込んでないのよ。強がりで言ってるんじゃなくて。」

「そうなんですか。自分だったら鬱になってます。」

「癌の事は考えない事にしてるのよ。治療はプロに頑張ってもらって私は体調管理だけ。毎日面白いことを探して笑う様にしてる。」

「そうですか。自分だったら・・・。」

「副作用が楽になったら2泊でプチ旅行してるのよ。頑張ったご褒美っていうか、励みにね。」

ほんと久し振りに色々話して、「じゃもうそろそろ。」って言って立ち上がったら、マスターが、「寂しいです。」ってポツリ。

「は?」

「お店で1人、誰か来てくれないかなぁ〜って待って・・・」

「チャンスよ、マスター。新曲作りなさい!」

くらくらくらくら、暗っ!!😆