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3月 2017

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私・自宅にて

春だから奥の方に仕舞い込んだ花柄のお洋服を着てみることにしました。

ダメだ。笑

この前まであんなに良く似合っていたのに全然似合わない。

膝上10センチも頑張ってます感があり過ぎる。だけどシックな物を着ると婦人会の親睦旅行みたいになってしまう。

ぎゃはは。

何を着てもなんか違う、難しい年頃になってきました。

何も似合わないのは顔色が良くないせいかもしれないと、娘にエステを頼みました。遊びに来ていた母もやってもらい、最後に並んでパック。こんな皺くちゃのお婆ちゃんにパックなんて勿体ないって言いながら、母はまんざらでもなさそうでした。白塗りになった顔でキョロキョロ、私と娘を笑わせたいみたいでした。

バカ殿か!笑

母は今、私の隣にいるのだからどうしているかと心配する事はない、そう思った瞬間に眠ってしまいました。

「お婆ちゃん、もう洗い流して良いよ。」っていう娘の声で目を覚ましたら、バカ殿が娘に連れられて洗面所に移動中でした。携帯を開いたら娘からラインが届いていて・見ると私の写真が・・・。母と同じバカ殿の私が写っていました。

なんて穏やかで温かい休日。

店内にて

あの衝撃的な津波の日から6年経ったそうです。数寄屋橋交差点のソニービルの壁面に、大きな防災広告が掲げられたのは数日前の深夜の事でした。目にされた方も多いと思います。

あの日の津波は16.7mだったのだそうです。広告にはその位置に赤い印が付けられていました。意味のある広告だと思いますが私は1度見ただけで胸が苦しくなり、それ以降は見ていません。

私の親族は誰も被害を受けていないのにこんなに心が痛いのですから、被害に遭われた方はどれ程辛い思いをされただろうかと思います。

大切な方を亡くされた方々に心からお悔やみを申し上げます。

せめてあの日を忘れられる一瞬が早く、少しでも多く訪れます様にとお祈り致します。

テーブルを持ち上げようと指に力を入れたら、爪が3本も折れてしまいました。

爪くらいと思われるかもしれませんが、私にとって爪は髪の毛以上に大切な物なのです。

水割りをお作りする時やライダーで火をおつけする時など、爪が長いのと短いのではホステスらしさが全然違うと勝手に思っているからです。笑

慌てて行きつけのネイルサロンに予約の電話をしたら担当の方が長期休暇という事で、「銀座に支店がありますので電話してそちらの店長に担当する様に伝えましょうか?」と言って頂き、「大丈夫でした。直ぐに行けますか?」「行きます、行きます。」となり急いで行ったのですが・・・

10代後半の若いスタッフの女性に事情を説明したら、「そんな連絡入ってないですぅ。それにぃ〜今日は店長が休みなんですよ〜。」って言う。

「え?!」

「どうしますか?帰りますか?私で良ければやりますけどぅ〜。」

帰りますか?って。笑

超不安立つだけど〜お願いする事にしたぁ〜。「5時半までに仕上がりますか?」

「大丈夫ですぅ。どのデザインにしますか?」私はサンプルの中から1番簡単そうなデザインを選びもう1度、「5時半までにお願いしますね。」と伝えた。

それがいつまで経っても爪を磨くばかりで、ちっとも先に進まない。

「5時半に間に合いますか?大丈夫ですか?」「大丈夫ですぅ。」

暫くして、「これじゃ終わりませんよね。」

「大丈夫ですぅ〜。」

そして完成には程遠い工程の途中で彼女は言った。

「5時半ですぅ。今日はここまでなんで。」

何が?

店内にて

母が分厚くて重い昔のアルバムを何冊も本箱に並べていたので、軽いフォトブックを買って来て娘と整理をしました。

母の症状は緩やかに進行していき、いつか全ての記憶はなくなるのかもしれません。

それでも家族やお友達の写真が直ぐに見られる場所にあれば、少しでも進行を遅らせる事が出来るかもという娘心からでした。

新しいアルバムを母に手渡し反応をみたら、その日の母は写っている殆どの人に見覚えがなさそうでした。

アルバム効果か、その翌日から母は私の顔を見る度に神戸の弟を自宅に招待したいと言い始めました。

「ベッドは1つしかないけど姉弟だから床にお布団敷いてゴロ寝で良いんだから。 もう長いこと弟に会ってないから会って話がしたいわ。来るように言ってくれない?」「わかった。でもまだ寒いからもう少し暖かくなってきたら来てもらおうね。」

母は首を縦に振ってくれませんでした。

何度も何度も顔を合わせる度に同じ事を言うので、これはもう私が連れて行くしかないのかなと思い始めていました。そんなところに神戸で日帰りの仕事があるから連れて行こうかと嬉しい親戚からの申し出が。

助かった!笑

母に言うとその事ばかり言い始め質問責めに合ってこちらの頭が壊れるので、出発当日まで内緒にする事にしました。

トイレの心配は全くないこと、最近は私の家に来て10分位で迷惑になるから帰るねって帰り支度を始めること、そんな母を引き止めて座らせて数十回も繰り返している事を私は叔父に説明しました。

「叔父ちゃんにも同じ事をすると思うの。迷惑をかけてしまう、それが物凄く心配だわ。」

叔父は大笑いして、「お姉ちゃん、やるやんか。心配せんといて。俺ら姉弟なんやから。」

良かったね、お母さん。

やっと会えるよ。

私・店内にて

「ママも趣味があれば良いのにね。」と娘が言う。

お仕事と母の事と家事で一杯いっぱいの私を娘は傍でしっかり見ていてくれる。

子育てが一段落した頃見つけた趣味は、家事を放棄するほど熱中し過ぎて断念した。何か始めると他の物が見えなくなってしまう私は、今は趣味は見つけちゃういけないと思ってる。

週末のお昼過ぎ、食料を買い込み母の家を訪ねた。母はパジャマ姿で嬉しそうに出迎えてくれた。今か今かと待っていてくれたようだった。母にパンを食べさせておいて、クローゼットの整理をした。

前日浴室に干しておいた母の靴下が洗濯用ハンガーのままブラウスの間に吊ってあった。その隣には下着とバスタオル。

整理した?笑

趣味なんて何もなくても良い。

そんな事、今の私にはどうでもいい。

明日もまた整理しよう。

趣味はお婆ちゃんで良い。