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銀トリ日記

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自宅にて

窓越しに差し込む日差しの下に立ち風景を眺めていたらふと、これからはもう自分中心で自由気ままにやって行きたいと思いました。

10日程前の事です。

銀座のクラブに勤め始める前にもそう思ったはずでした。それなのにやっぱり私は強さも知恵もないのに人の心配ばかり、そう感謝もされず挙げ句の果てに疲れ果ててガックリが定番でした。

今度こそは絶対に!暖かい陽だまりの中でそう強く心に決めました。

昔は黒いドレスは縁起が悪いからダメ!と大ママに注意されましたが、今となっては誰からも何も言われず最近の私は私服もドレスも黒ばかりでした。

でもどれを着てもお客様には1枚しか持っていない様に見えるらしくて。笑

見た目から変えてみよう、せめてドレスだけでも変えてみようと先週末にカラードレスを数点購入。

髪色も少し派手にしてみました。

帰宅して直ぐにお店に行き深夜2時まで厨房周りを使い易く変えました。

翌日はPCでボトルのメニュー表を作成。その後、朝までかかって決算の書類を整理して提出。

動いて変えて変えて動いて、あっという間に週末が終わってしまいました。

派手なドレスと髪色で落ち着かない平日を過ごし、やっと迎えた今週末。

待ちに待った自由気ままな私の休日がやって来ました。

ネイルサロンで数年振りに爪の形を変え、サロン帰りに大量のチョコレート材料を購入。

帰宅直後からチョコ作りに取り掛かりました。

お客様にお出しするチョコレート作りは3年振りでした。

あの方はお抹茶チョコを喜んでくださったとか、次はアーモンドチョコを作ってと言ってくださったとか、色々思い出して懐かしさで胸が一杯になりました。

溶かして冷やすを何度も繰り返し包装してケースに並べ乍ら数えたら、なんと5種類400個。

誰が食べるのかな?笑

時計を見たら朝の8時でした。

指も腕も腰もどこにも力が入りませんでしたが、最後の力を振り絞りあれこれ洗ってあれこれ拭いて元に戻し、シャワーを浴びてベッドに倒れ込みました。

明日は母に購入した衣類に名前を縫い付けなければ、何時間かかるかなと思いながら。

そして見た夢は・・・

マスターが、「ママ、チョコレートがありません!」

「え?!昨日作って持って来たでしょ。」

「それがないんです、どこにも!」

「は?どうして?誰かに盗られた?!」

「それしか考えられません。」

「はぁ〜?」

びっくりして飛び起きてキッチンまで来たら、冷蔵庫に抹茶色の指紋がペタペタ。

こいつだな,犯人は。爆

湯河原にて

梅香る季節となりました。昨夜は帰宅時の寒さを予想して厚めのロングコートと長いショールで出勤したのに、それでもタクシー乗り場に着く頃には背中が冷え切っていました。寒暖差の激しい時期です。皆様、風邪などお召しになりません様、お気をつけてお過ごし下さいませ。

日記を読み返してみたら昨年の私は、もう少ししたら湯河原の梅林を見に出掛けていました。4000本の満開の梅はそれはそれは見事でしたが、途中から私ってそこまでお花が好きじゃない事を思い出したり、もう直ぐ見向きもされなくなる梅の木に自分を重ね合わせて寂しくなりました。

あれから早1年、時って本当に残酷です。笑

昨年末から私を取り巻く環境で色々と変化がありました。それは私にとって余りにも辛い出来事で、一時は笑えなくなり誰に対しても不信感を抱くようになりました。本態性振戦はますます酷くなり全身がガタガタと震え続けました。私が今までしてきた全ては無意味だった、私はこんなに傷ついたのに相手は何事もなかった様に楽しそうに笑ってる、そう思うと悔しくて自室に駆け込み隠れて泣きました。

その間、家族の励ましに支えられながら、やっと最近元の位置に戻りたいとそう思える様になりました。私は無意味とわかっていてもそうしてしまう人間で変われない、それが私、私は私。相手だって変わらない、そういう人達。私に許す器はこの先も出来ないけれど諦める事は出来る。これは良い経験だったんだって、そう思いたい。

春が可愛いキャストを連れてきてくれました。桜の頃までにもう2人ほど出会いたい。お店にお花が咲いたみたい、少しホッとしてクスッと笑えた自分がいました。

これをバネにもう一度頑張ってみよう。

芦ノ湖にて

長い冬休みを頂き本日PM7:00から営業再開です。

ながぁ〜い。笑

皆様のご来店を心よりお待ちしております。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

年末か3が日の間に母に面会に行きたいと施設に申し込んだのですが、皆さん考えは同じでなかなか予約が取れず今日やっと顔を見る事が出来ました。

営業再開は母に会ってからと決めていたので、こんなに長くお休みさせて頂きました、という事にしておきます。

面会はガラス越しで会話はマイクを使用、時間は10分間という短いものでした。それでも骨折後に車イス生活になった事を除けば顔色も言葉も笑顔も何ひとつ変わらない母で、私はホッと一安心しました。

母が私を完全に忘れたのはもう数年前になりますが、私を見る目に頭の片隅に何か感じるものがあるようだと思いました。

ガラスに人差し指を付けて私の輪郭をなどり、「色々つけてるね。」と言って笑い、「良い人そうだわ。」と言ってまたニコリ。

「そう?そう見える?良かったわ、大切に育ててもらったから。」

「あらぁ、そうなの。良かったねぇ。」母は何度もうなづきながらそう言いました。

10分はあっという間でした。

職員さんとエレベーターに移動してドアーが閉まるまで、私はずっと母の姿を見ていました。もしも母の歳まで生きることが出来たなら、私も母の様になりたいと願いながら。

今も頑張ってるよ、お母さんは。

ずっと頑張ってきた事も私は知ってる。

だから私も頑張るよ。

何が起きても最後まで頑張るから。

店内・マスターと

新年あけましておめでとうございます。

良いお天気に恵まれ穏やかな年の始めをお過ごしの事と思います。

昨年は沢山のお客様がご来店下さり、「ママ、頑張ったね。」と労って下さいました。

数年ぶりにお会いした皆様は以前と何もお変わりなく、優しいお声掛けに一瞬で長かった苦難の月日を忘れることが出来ました。

休業を余儀なくされた数年間がまるで嘘の様に店内が笑い声に包まれ、私は心の底から幸せを実感しました。

本当の幸せや大切なものは本当の苦労の後にしか見えない事を、私はこの歳になって初めて知りました。

私の自慢はお客様方です。

私は1日も早く病気に打ち勝ち笑顔を絶やさず、今後も精進して参ります。

今後とも末永くお付き合い下さいます様、どうぞよろしくお願い致します。

今年も皆様のご活躍とご健康を心よりお祈りしています。

店内にて

日の短さや夕焼けの美しさ、朝夕の冷え込みや街路樹の色づきに秋を感じる季節になりました。

皆様、お元気ですか。

書くべきか黙っていようかと長い間悩んだのですが、お会いすれば直ぐにバレてしまうし既にお気づきの方もいらっしゃると思うので、皆様に知っておいて頂こうとやっぱり書くことにしました。

自分の身体がどこか変だと感じながら、それが確信に変わったのは2年半ほど前のことです。和食のお店に行った時、激しい動悸と共に指が震え始め私は目の前のお箸を持つ事が出来ませんでした。日に日に震えは全身に広がり、動悸に合わせて息をして話すため声まで震えるようになりました。

慌てて検査をした結果、私の病気はストレスによる本態性振戦というものだとわかりました。本態性振戦って?

ネットで調べて、私は初めてこの病気で苦しんでいる方の多さを知り驚きました。

先生は、「辛い事をご家族に話せたら良いけど出来ないのかな?1つひとつ問題がクリア出来ると良いね。それまでは薬で抑えよう。この薬で良くなった患者さんもうちにはいるからね。常習性はないし、接客前にお酒を少し飲んでおくのも良いよ、リラックス出来るからね。ただ人によってはボンヤリしたり眠くなる人がいるから飲む時間だけは気をつける様に。」と。

最近何度も転ぶのはお薬のせいだったのかもしれません、という事にしておきます。笑

私の1番のストレスは終わりの見えないコロナとお店の未来です。報道の通り、コロナ禍で世の中は大きく変わりました。やっと念願の営業再開だというのに街は静まり返り、何をどうすれば良いのか考える余裕もなく耐えるだけの数か月が過ぎた頃、施設から母が原因不明の骨折で緊急搬送との連絡が入りました。留めはマスターから検診で異常が見つかり手術する事になったと聞かされた事。電話でその報告を受けたその瞬間に、私の心がパンッと大きな音を立てて砕け散りました。ストレス3本立てです。

先日、マスターが無事に手術を終えて復帰してくれました。気のせいかマスターは入院前よりよくお喋りし、よく笑うようになりました。

ストレスをやっと1つ、クリアしました。

まだ症状は目に見えて改善されていませんが、ピークは脱したと良いように勝手に思い込む事にして、お薬をあてに開店直後からちびちびお酒を飲み、いつも真っ赤な顔で水割りを作っています。ピーク時はサービス精神も意欲も無くし見られる事が苦痛で俯いてばかり、誰か助けてと叫びたい思いでした。今でも時々アイスがどこかに飛んでいきますが、私は平然とお客様の前に座っています。震えていたって歌も唄うしお話もします。私が生を感じるのはここにしかないからです。隠れていたくありません。

最近は完治しなければドリフターズのもしもシリーズで志村けんさんが小料理屋のお婆さんになってたでしょ?宙吊りになって奥から飛んで来て長さんにお酌するコントがあったじゃない。あれしかないかもねと娘と話して笑えるようにもなりました。

私にストレスが降りかかるのは、生きているからです。

マスターがまだ痛い患部を押さえながら大笑いしています。時間を見つけては娘が大真面目な顔でYouTubeの編集をしてくれています。私には震えてるの?と心配そうに聞いて下さるお客様がいます。気づいても黙っていて下さる方もいます。

私は幸せ者です。本当にほんとうに幸せ者です。だから私を大切に思って下さる方々に感謝して、負けずに何とか頑張って頑張って必ず・・・

それでもダメなら一升瓶抱えて宙吊りでお酌します。

マスターが。笑

面白いと思うわ、その時は是非見にいらして下さいね。。