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崩れるのは一瞬

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崩れるのは一瞬

病室にて

昨日、退院後初めて病院に行ってきました。丁度お昼過ぎで車の中からジリジリと焼け付くビルや歩行者をぼんやり見ているだけで、目がぐるぐる回り頭がくらくらしてきました。ふとこんな炎天下に球児たちは長時間熱戦を繰り広げるんだなぁと、大丈夫なのかなとちょっと心配になりました。余計なお世話ですね。笑

先のブログで少し触れたのですが、癌は手術して病理検査を行って初めて実際の病状やそれに伴うステージ、術後の治療法が確定するのだそうです。どの癌もそうなのかは知りませんが。私は術前の検査は何の為なんだろう?それだと先生が告知するステージは正確ではなく多分そうなんじゃないかなって事なのかな?それならどうして告知するんだろうと不思議で仕方ありませんでした。不思議だと思いながら先生に、「ステージ1ではないか、転移はしていなさそうだ、手術してみないとわかりませんが。」と言われ私は物凄く喜んでいました。希望を持ちたかったし安心したかったのだと思います。何度も最終的には手術して病理検査しないとわからないと言われたのに。

そして昨日、聞いた病理検査の結果は私にとって最悪なものでした。手術で目視出来る癌は全て取りきれており、術後の経過も良好でした。でも顕微鏡で調べたら私のリンパ管には既に癌細胞があり転移陽性でした。それによりステージも1から一気に3Cになり、今月末から来春にかけて抗がん剤治療を開始する事になりました。説明の途中で先生が何度か、「ここまでで何か質問はありますか?」と聞いてくれたのですが私は、「何もわかりません。」

先生の説明が終わり別室で、抗がん剤治療アレコレについて看護師さんから説明を受けました。看護師さんは私の顔を見てヤバいと思ったのだと思います。心配そうに何か話しかけてくれました。何を話しかけてくれたのか、全く覚えていません。私が、「大丈夫です。」と答えると、「大丈夫って言わなくても大丈夫ですよ。」って。優しい看護師さんなのだと思います。でも私はこの病気になってから、いつも大丈夫だと思う事にしていました。『私は強いから大丈夫、沢山の人が同じ病気を乗り越えてる。だから私も大丈夫。』と。そう思う事で1度も崩れずに怖がらずに前が向けていたのです。それがお腹の傷も治りきらないうちの2度目の厳しい告知と看護師さんの言葉・・・本当は私はわかっていたんです。こんな時、女性は思い切り泣くんだろうなぁ。泣いて泣いて落ち込んで、そこから這い上がって来ないと長い病との闘いに最後まで頑張れないんだろうという事は。

昨日は帰宅してから初めてバスタオルを抱えて、「こんなに頑張ってきたのに。」と声を出して泣きました。泣いても泣いても涙が止まらず、出勤は断念しました。頑張れば何とかなった今までだったのに、頑張っても頑張ってもどうにもならない今がただ悔しくて泣きました。いくら考えても立ち直りまた前を向くその方法が、私にはわかりません。私はもうダメなんでしょうか。

唯一分かったのは私は大丈夫じゃないってこと。