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悪くないもの

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悪くないもの

伊豆高原にて

明後日には年の瀬を迎え、今年も余日少なくなって参りました。

皆様いかがお過ごしでしょうか。

「12月中に残りの2回の抗がん剤治療を終えその後の検査で再発が認められなければ、当初予定の6回の投与が終了して以降は経過観察となります。」と女先生がにっこり笑って話してくれました。

軽くてラッキーと思っていた副作用だったのに3回目から段々重くなり、辛くなってきた4回目投与前の診察室での事です。

4、5日すれば楽になるのですがピーク時には、“やっぱり私も普通の人間だった。”と残念に思いながら痛みでいつの間にか眠っている事が多くなってきました。

残り2回だから、残り2回なんだからと最近は自分に言い聞かせて生きています。いつもは新年なんて来なければいいと思うのに、こんなに今年が早く終わって欲しいのは初めてです。

4回目の副作用クリアのご褒美旅行は伊豆半島でした。少し遠回りして修善寺のもみじ林に立ち寄り、私がお店で塗る口紅の様な葉っぱを見てきました。

修善寺は母がまだ元気な頃に来て以来、4年ぶりでした。母と私と娘で大きなお風呂に入りお揃いの浴衣を着て豪華な和食を堪能し、早朝の鳥の鳴き声に目覚め、庭園を散策。

真っ赤な葉っぱを見上げながら、“あの時はまだお母さんは自分でお箸を持って食べてたなぁ。”とか、“あの浴衣は3人ともちっとも似合わなかったなぁ”とかそんなことをふと思い出して、心からあの日に戻りたいと思いました。

戻って、母にありがとうをもっともっと言えば良かったと。

去年、自宅を出て他県で暮らす娘が、抗がん剤治療後に毎回お仕事を休んで看病に帰ってくれる様になりました。どんなに地震で揺れていたって1度寝たら絶対に起きなかった娘が、私が少し動く度にサッと目を覚まし、「大丈夫?どこが痛い?」と聞いてくれます。自分本位で自己中代表の様だった娘の変わり様に、娘の為には病気も悪くないものかもしれないとも思います。

親孝行したい時には親はなし

石に布団は着せられず!笑

どんなに願っても過去は変えられないから、ありがとうを皆さんに。

私を思って下さる皆さんに。

声に出してちゃんと伝えていこう。。